この人のすごい所は、発表するために書かれたものでなく、自分の生きる世界を構築するために、自分の居場所を作るために人目に触れず書き続けたその純粋な自己世界構築の魂。
私は、この手の作家に弱く、彼もその中の一人です。っていうか、この中でも究極かも。
生前に世に出ることはなかったり、評価されず、死後に発見されるタイプ。カフカ、宮沢賢治、ゴッホ、みんな好き。生きてるけど、サリンジャーとか。(もう発表しないらしいし。)書いたものを隠して生きるタイプが好きです。というより、発表が目的ではないタイプというか。したくても評価されなかったことも含め。それぞれは、相違はあるけども。
それくらい、世俗的評価、世の中の価値観とは変わるものだし、移ろいゆくものであるのだから、きっとあまり指標にはならないのだと思うし。負け惜しみのようだけど、それくらい「絶対的価値観」なんてないから。ほんと。だから、いつも本当は自分の中だけで、自分にとってが本当で、そしてそれがどこかで、どんな孤独な人間にも持っている、核みたいなものに普遍的特質に触れる時、安らぐというか、「癒し」なんて言葉嫌いだけど、まぁ、言葉にするならそういう感じになる。繋がらない誰かと繋がる。孤独と孤独の果てに点のように重なる。
独りだけど、一人だからひとりじゃなかったんだなぁと。
バックグラウンド的な事を評価しているのではなく、もちろん、作品が好きだし、この手の作家の作品が持つ、未完成さ(すなわち人の為にかかれたものではない)と、純粋な創作の原点、透明感、魂から来る痛々しさや、ずっとずっと奥の、その人自身の純粋な部分からのものを感じるから、とても興味深く惹かれる。
他者を絡めない、自己をひたすら掘り進める断絶された自己の魂というか。
もちろん、生業にしてる人もすごいと思う。その素質も技量も、作るものも人の心に届かないと生業にできないのだから、すごい事だ。
両方すごいけど、私が惹かれるのは前者のタイプが多い。皮膚がめくられるような気分になる。泣き出したくなる。
話は戻って、ヘンリーダーガーは、こういうタイプの作家の中でも、かなり究極。
4歳で母と死別。父に育てられるも死別。施設で育つ。17歳で脱走。病院の皿洗いや清掃係として働き、天涯孤独で6畳ほどの部屋で半世紀、妄想に耽りほとんど誰と会うこともなく「非現実の王国ーヴィヴィアンガールズ7姉妹の物語。子供奴隷の反乱に起因するグランデコーアンジェリニアン戦争の嵐の物語」を創作する。
すごい・・・。1万5千ページを超える。誰も最期まで読んだことがないくらいの長編だ。世に出てこないところをみると、きっと読み物としては成り立たないのかも知れない。・・さすが、読む人を想定していない・・・。究極の自己完結だ。
時々、病気の人で、物語や絵を描く人もいるけど、絵はなんでもありで、まだいいとして、物語はかなり難解なものが多い。自分を救うための、妄想物語が多いので、自分の誇大妄想作品が多いのだ。(有名大学を出てとか、お金持ちでとか、有力者で・・・魔法が使えて、みたいな)しかも、支離滅裂なので、部分的におもしろい表現があっても、全体としてはちっともおもしろくない事が多いけど、これは、少し読んでみたい。・・・でも読破は無理だろう。
女の子はちんちんついてるし、両性具有でこの世の生き物でなくかわいいが、それはヘンリーが、生涯、女性の体を見ることがなかったからとも言われている。
日曜はミサに通うような老人だったらしいし、天使は両性具有だから、そう描いたのかもしれないし(私のただの憶測)わかんないけど。
これは、ヴィヴィアンガールズ達が動いています。ヘンリーが見たら興奮するだろう。でも、私的には動かなくてもいいじゃん・・・とか思うけど。
http://www.youtube.com/watch?v=LHkHKmkBGnk
あぁ、ヘンリー、今は非現実の王国に辿り着けたのかい?
そうだな。自分で世界作るのいいな。死んだ後そこへ行けるように。そこに想いを費やすなんて素敵な事じゃないか。